前回掲載しました「勝負なし法」を、
もう少しご説明いたします。
今回は、「勝負なし法」の応用です。
前回は、『おやつを買わない約束で、
子どもを買い物に連れて行ったにも関わらず、
「買って!」とせがまれ困った』場合の事例でした。
ある読者様から「あまり納得できない気がします。
躾なのだから、ダメといって約束したものは、
ダメ!で通してもいいのではないでしょうか」とのご意見がありました。
各ご家庭には、躾についての方針があると思いますので、
ダメ!と約束したものはダメでも確かによいと思います。
その場合、「買う・買わない」ではなく、
「約束を守る・守らない」について、
その場で勝負なし法を使って話し合ってみてはいかがでしょう。
「勝負なし法」とは、親子で衝突が起こったとき、
親の意見を押し付けたり、子どもの意見に負けてしまったりするのではなく、
互いに解決策を考え出し、試してみる方法です。
事例(低学年)
子どもが外へ遊びに行くのを見て、
外は寒いからジャンパーを着ていくように親が言う。
(今までの親業テクニックも盛り込みました)
親「あれ?そのかっこうで外に行くの?
外は寒いからジャンパーを着ていきなさい。」
子「寒くないよ。」
親「家の中は暖かいけれど外は寒いんだから、
何か着ていったほうがいいわよ。風邪でもひいたら困るでしょ。」
子「だって、これから遊ぶんだから寒くないよ。」
親「そんなこと言ったって、寒いと感じたときはもうおそいんだから、
着ていきなさい。」
子「でもあのジャンパー、モコモコしてて遊びにくいんだもん・・・」
親「そうなんだ。あのジャンパーは遊びにくいから着たくないのね。」
(能動的な聞き方)
子「そうだよ。」
親「ママはね、あなたが風邪をひいてしまうかと心配だから、
何か上に着ていったほうがいいと思うんだけど、どうしたらいいかしら?」
(わたしメッセージで解決策を促す)
子「じゃあ、何か他のものを出してよ。」
親「そうね、その薄手の上着か、あのセーターはどうかしら?」
(解決策を出す)
子「セーターを着たら上に何も着なくていい?
それなら動きやすいから。」
(解決策を評価)
親「あのセーターは暖かいからいいんじゃない?
もし動いて暑くなったら脱いで腰に巻いて縛ればじゃまにならないわよ。」
(解決策を評価)
子「うん。わかった(セーターを着て)じゃ、行ってきます!」
(双方が納得いく解決策を決定)
親「いってらっしゃい。気をつけるのよ。」
これは、親も子も満足した解決例です。
この後、子どもが遊びから帰ってきてから、
セーターを選んで着て行ったことについて、
どうだったのか、評価がわかるわけです。
この様に、勝負なし法による解決では、
親も子も一緒になって考えるので、
いろいろなアイディアが生まれます。
また、子どもも参加して決めるので、
親から強制する必要がなくなります。
この勝負なし法には、六つの段階があり、
次の順序に従って子どもと考えていくと、
うまくいく可能性が高くなります。
家庭での役割の分担、毎日の手伝いの内容などを
決めるときに使ってみることができます。
①問題を明確にする。★重要
まずは、子どもの持つ不満や問題を、
いかにたくさん言葉にして引き出し、
語らせるかが大切です。
子どもが話し始めたら、親は自分の意見は、
一切言いません。ひたすら『能動的な聞き方』で、
「そうか。そうなんだ。△△がいやなんだね。」など言葉を返します。
子どもが充分に自分の不満や問題を言い尽くしたら、
「あなたは△△がいやだし、ママは○○で困っているし、
どうしよう。どうしたらいいかな。」と、
親は子どもに対して一緒に考えてほしいと語りかけ、間を置きます。
②解決策を出す。
いろいろな案を出し合う。
③解決策を評価する。
お互いの案について検討。
④双方が納得いく解決策を決定する。
⑤解決策を実行に移す。
⑥結果を評価する。
実行してみて、良かったか悪かったか。
悪ければさらに他の解決策を考える。
勝負なし法を試してみるときは、
「お互いに気持ちよく問題を解決するとてもいい方法だよ」と、
子どもを誘い、「お母さんもいい方法を考えるけれど、
あなたも、いい案をいっぱい出してね。」と言いましょう。
この方法は親子間以外に、夫婦間や、お友達間でも応用できます。
ぜひ試してみましょう。
「勝負なし法」って?
人が2人以上いれば対立はおきるのが当たり前。
ましてや始終一緒にいる親子が対立(ケンカ)するのも当然ですね。
親業の方法で対立をなくしたい・・・・
といってもそれは無理です。
問題は、「対立をなくそうとするのではなく」、
対立が起きるのはあたりまえなのですから、
「対立が起きた時にいかにそれを解決するか」です。
親子が対立した時、
あなたは親の力で考えを押し付けて、
抑えようとしていませんか?
または、仕方なく子どもの言う事を聞いてしまいますか?
それは「親が勝つ」「子が負ける(親に従う)」
または「子が勝つ」「親が負ける」といった
どちらかの勝ち負けが決まる解決方法「勝負法」です。
それとも、どちらでもなく、
うやむやに終わらせてしまう、「ウロウロ型」ですか?
いずれの解決法も親子双方に不満が少なからず残ります。
親業にはこのどの型にも当てはまらない、
どちらにも勝ち負けをつけず、
親子共に満足する解決法「勝負なし法」があります。
この解決法にはコツがあります。
①もめている問題点を明確にする。
②まずは解決策を出してみる。
③その解決策でよいか、親子で評価し検討する。
④双方が納得いく解決策を決定する。
⑤解決策を試してみる。
⑥その結果をどうだったか評価する
(もしうまくいかなければ新たな解決策と話し合う)。
実例
おやつは買わない約束で子どもをスーパーに連れて行くと
「お菓子買って!」とせがまれる
■親が勝つ
(お買い物で子どもが買ってという言葉を
「ダメッ!」といって押し切る例)
子「お菓子買って!」
親「買わない約束でしょ!だめ」
子「やだ!買って!」
親「だめ!言うこときかないとおいてくよ!」
子「びえ~ん(泣き泣きついていく)」
■子どもが勝つ
(お買い物で子どもが「買って、買って!」という言葉に、
とうとう負けて買ってしまう例)
子「ママ、お菓子買って!」
親「買わない約束でしょ!だめ」
子「やだ~!買って買って!(泣く)」)
親「もう、うるさいわねぇ。(しょうがないなぁ)1個だけよ」
子「やった!(涙つきつつ笑顔)」
★勝負なし法
(母親がいくつかの解決方法を子どもに提案。
その解決方法を子どもに選ばせ、納得し成功する例)
子「お菓子買って!」
親「買わない約束でしょ!だめ」
子「だってほしくなっちゃったんだもん(泣く)」
親「ママは毎回あなたのお菓子を買ってあげられないのよ。
じゃあ、ママがいい案を出すから、どれがいいか選んでね」
子「うん(泣き止んで)」
親「1番 ○○チャンはお買物にはついてこないでお留守番をする。
2番 お菓子を買う日を決める。例えば毎週土曜日とかね。
3番 ちゃんとお手伝いをした
ときに買う。さあどれにする?」
子「え~っと・・・1番はいや。2番がいい!」
親「2番ね、じゃあお菓子を買う日は明日の土曜日よ。」
子「うん!わかった(ニコ)」
あなたは何型?
■親が勝つ型
「早く食べなさい」「テレビばかり見てちゃダメッ!」など言い、
従わせてしまう。
子どもは強く反発するか、親の言う事に従うことしかできない、
依存的でいつまでたっても自立できない子どもに育ちます。
■子が勝つ型
「しょうがないわねぇ」「わかったから好きにしなさい」など
言ってあきらめてしまう。
わがままで、自分の気持ちをコントロールできない、
なんでも自分の思い通りになると思ってしまう、
自己中心的な子どもに育ちます。
■ウロウロ型
うやむやにごまかしたり、あるときはきつく言ってみたり、
またある時は子どもの押しに負けてしまったり、
双方の間をウロウロしてしまう。
お母さんだけでなくお父さんも同じです。
お母さんが「親が勝つ型」
お父さんが「子が勝つ型」といった場合もあります。
これでは、子どもも混乱します。
物事に対し、結論が出せず不安定な状態か、
常に勝つか負けるかの勝負で権力闘争を起こします。
最近はこのタイプが一番多く見かけられます。
親も子もそれぞれが「人生の所有権」を持っています。
親は「あなたのために言っているのよ!」とよく口にしますが、
往々にしてそれは親が自分の意思を
子どもに押し付けているだけなのです。
子どもにも選択する余地を与えてあげましょう。
そしてお互いで良い方法を考え、その効果を共に喜び合いましょう。
「わたしメッセージ」
子どもがおもちゃを散らかしたまま。
母「○○ちゃん、遊んだ後はちゃんとおもちゃを片付けなさい!!」
何度言っても子どもがおもちゃを片付けない・・・
母「片付けないなら、おもちゃ捨てちゃうよ!」
と言っても、本当に捨てたりしないとわかっているのか、
子「いいよ」
と言って全く聞かない。本当に困ってしまう。
以前このようなご相談が読者の方からありました。
同じように子どもの片づけについて
困っている親は多いのではないでしょうか?
ここで少し考えてみましょう。
親であるあなた自身が、
なぜおもちゃが散らかっているといやだと思うのでしょう?
子どもがおもちゃを片付けないと、
どうして困るのでしょう?
上の会話の中には、親が何を大切にしているのか、
だからこの状態がいやなのか、困るのか、
何も子どもに語っていませんね。
母親の思いが全く子どもに伝わっていないので、
子どもは、母親がどうしてそんなうるさいことばかり言うのかと思うだけで、
行動を起こそうかとか、
今までの行動を変えてみようかという気持ちにはなれません。
では、どうしたらよいのでしょう?
まず、母親は『わたしメッセージ』で自分の言いたいこと、
気持ちをきちんと子どもに伝えましょう。
おもちゃが片付いていないと、
何がいやなのでしょうか
何で困るのでしょうか。
子どもにわかるように話してあげましょう。
事例
例1
○○ちゃんおもちゃを片付けていないと、
誰かが踏んづけて壊してしまうんじゃないかなって心配になるの。
おばあちゃんからもらった大切なおもちゃや、
誕生日にママとパパがあげたのもあるでしょう。
心をこめてあなたにあげたものなのに、
大切にしてくれていないようで悲しいな。
例2
○○ちゃんがおもちゃを片付けてくれないと、
もし急に大事なお客さんが来たときに、
「この家は汚い家だな。」って思われてしまうから嫌なの。
それに「ここの家の子は行儀が悪い子だ」って
○○ちゃんのこと思われると、ママ悲しいしカッコ悪いな。
例3
○○ちゃんがおもちゃを部屋に出しっぱなしにしていると、
ママがお洗濯を干しに行く時、そこを通れなくて、
お母さんは本当に困るの。
どれも、子どものおもちゃを片付けないという『行動』を
あてつけがましくなく言って、
その行動が親に与える『影響』を言い、
最後に親の『気持ち』を率直に、
「悲しいな」「カッコ悪いな」「困るの」と言っています。
ここでは、「わたし」が主語になっています。
最初の会話のように、子どもに押し付けてはいませんね。
これが『わたしメッセージ』です。
子どもは自分を責められていないので、
「なんだお母さんって、そんなこと気にしてたの、
そんなことぐらいお安いご用」と
ばかりに行動を変えてくれます。
こうやって『わたしメッセージ』を、
実際に声に出して子どもに語りかけてみると、
改めて親である自分は、何を大切にしているのかがわかってきます。
たとえば例のように、
高価なおもちゃが壊れるのを心配している親なのでしょうか、
他人からどう思われるか体裁を気にしている親なのでしょうか、
洗濯物干しの家事をただ早くすませたい親なのでしょうか。
『わたしメッセージ』を作ることで、
自分の親としての価値観が見えてきます。
まさに自分探しの作業と言えます。
子どもに伝えるための『わたしメーセージ』を考えれば考えるほど、
自分自身の価値観が明確になっていきます。
一方、子どもの方は『わたしメッセージ』で言われることで、
親にも独自の感じ方があることを知ります。
たいていの子どもは部屋の散らかり方について無頓着です。
どんなに散らかっていても全然感じない子もいます。
(うちの息子もそうでした。)
親に「このままの状態ではいやだ」と言われて初めて、
親にとっては嫌なことなんだと気づくようです。
ここで初めてそんな親への思いやりが生まれるのです。
もしくは、「ふん」と無視された場合、
「お母さんはまじめに自分の気持ちを言っているんだよ。
もっとしっかり聞いてほしいな。」とお願いし、
もう一度、命令口調ではなく『わたしメッセージ』を言います。
親の率直な気持ちを初めて聞いた子どもは、
急に親が何を言っているのかと、
とっさにわからないことがあるからです。
心をこめて、真剣に、ゆっくりと『わたしメッセージ』を子どもに言ってください。
そして、子どもが親の言葉を聞いて、
思いやる気持ちで行動を変えてくれた場合は、
「ありがとう!」「助かった!」と親が喜びを表し、
子どもを認めます。
子どもが行動を変えず、片付けようとしない場合は、
「ね、いっしょに片付けようか。」と大好きなCDでもかけて、
1曲が終わるまでに親子で片付けようねとか、
解決策を子どもに提案してはどうでしょうか。
片付け用の大きな箱を用意しておいて、
とりあえず、おもちゃはここに入れるということにしてもいいですね。
しかし、もし、親が言った『わたしメッセージ』に
子どもが「だって!」とか、「そんなこと言ったって!」と
反発してきたら、これこそチャンスです!
日頃の子どものうっぷんを親が『聞く』絶好の時なのです。
その時は、前回に掲載した『能動的な聞き方』の
【くりかえす】【言いかえる】【気持ちをくむ】の方法で
親は黙って聞くことに徹してください。
白いボールのキャッチボールです。
子どもはとても話しやすくなり、日頃思っていたことが話せて、すっきり!
(このとき、親は無理に話を聞き出そうとしたり、
聞いた内容でまた子どもを責めたりしないこと。)
子どもの気持ちに親が寄り添って『聞く』、
親の気持ちもしっかりと伝えながら『話す』、
このやりとりで、お互いの心の琴線にふれ合い、
理解と愛情を深め合いましょう。
<小学生 低学年>
小学生2年生くらいになると、そろそろ子どもの成績のことが気なってる頃です。
「うちの子は全く気にしていないから困っちゃう」と、
子ども自身よりも親である自分の方が悩んでいると思っていませんか?
■例1:「テストの点数」
小学校2年生の娘、
小さく折りたたんであった30点の漢字テストがカバンから落ち、
6年生の長女に見つかってしまったときのこと。
長女「勉強していかないから、悪い点取っちゃうのよ」
次女「だめ!見ないで! ママ~、30点だって、お姉ちゃんにバカにされた・・・」
とベソをかいて、台所に来ました。
あなたなら二人になんと声をかけますか?
「今度がんばってやろうね」とか
「お姉ちゃんだって悪いときあるんだから、人のこと言わないの」
なんて言いますか?
状況だけで判断し、何気なく声をかけていませんか?
この例1のお母さんは、
次女がなぜベソをかいたのかをよく理解してあげようとしました。
そして、次女は長女に言われたことばよりも、
30点をとってしまった自分自身が悲しいのだとピーンときました。
母「30点か~、悲しいネ。お母さんも悪い点とったことあるナ~」
次女「本当?」
次女は急に元気になって、ランドセルの中から4枚テストを出し、
私の前にならべました。50点、60点・・・。
びっくりしましたが「フーン」とながめていました。
すると
次女「お母さん、私勉強していかなかったから悪い点とったと思う。
これから毎日練習して、漢字博士になっちゃうからね」
そう言うと、楽しそうに机に向かい、漢字を書き始めました。
母親が次女の気持ちを察することができたことで、
子どもは自ら解決をしたのです。
■例2:「隠していたテスト」
ある母親の話
うちの息子は、いつも80点以上で偉いなあと、
自分の子どもながら感心していました。
ところがある日、息子のおもちゃ箱のすみから、
40点、50点のテストが小さくたたまれて入っているのを発見し、
大変ショックでした。
私は息子に、「なぜちゃんと全部見せないの!」と叱ったら、
「だって、お母さんは絶対叱るんじゃないかと思って・・・
だから悪い点は見せなかったんだ」
そう言われて、ズキン!と胸が痛くなりました。
■例3:「ゴミ箱のテスト」
ある先生の話
掃除の時間、ゴミの中に毎日同じ子のテストが捨ててある。
その子に持って帰れと言ったら、
「だってうちに持って帰ると、おとうさんにコツンされるからいやだ!
このテストはいらないよ。先生にあげるよ」
そう言われ、切ない思いがしました。
さて、皆さんはどのように感じますか?
子どもにとって、親の態度による影響は、
親が思っている以上に大きいものです。
確かにテストの点数が良いことにこしたことはありません。
それは親よりも子ども自身の方が、そう思っているものです。
(気にしていないように見えて、そのふりをしているだけかもしれません。)
しかし、その事実を乗り越えられるのは子ども自身です。
親は、親の目線ではなく、子どもの心を感じ取ってあげられるように
日頃から言葉(心)のキャッチボールを大切にして、接してあげたいですね。
<中学生編>(小学生にも参考にできます)
小さな子どもだけでなく、そろそろ複雑な年ごろの中学生の子どもも、
話を聞いてもらえることは、気持ちがすっきりします。
前回掲載の言葉のキャッチボールで白いボールには、
白いボールを返す方法を使った親子の会話の例
■「部活を変わりたい」(中学1年)
子「お母さん、僕クラブのことなんだけど、柔道部に入りたいんだ。だめかな」
母「あら、じゃテニス部はもういやになってしまったのね」
子「そうなんだよ、柔道部は強くなると段がもらえるしさ、
男らしくていいと思うんだ」
母「そう、テニス部はもう本当にやめたいと思っているんだね」
子「やめたい気分だよ。一年生は球ひろいばっかりなんだ。
まだ一度も打ったことないんだよ」
母「球ひろいばかりでもういやになってしまったのね」
子「そうなんだよ。球ひろいはうんざりなんだ。
それに上級生がものすごくいばってるんだ」
母「球ひろいの上に、上級生にいばられては、
あなたもいやになってしまうわね~」
子「そうだろう。しかも女子の上級生がいばっていて、
時々ラケットで、頭をぶつんだよ」
母「女の先輩でもそんなことするの?新入生も大変ね」
子「でも全部の先輩がそういうわけじゃないんだよ。いい人もいるんだ」
母「そんなにいい人もいるの?」
子「そうだよ。だから一年生は先輩がちゃんと練習できるように、
球ひろいをして、協力しているんだ」
母「先輩の練習に協力しているわけね」
子「そうだよ。球ひろいをする人がいなければ、上級生は困るだろ。
みんなそうして上級生になっていくんだよ」
母「そうね。じゃテニス部はそんなにいやじゃなかったのね」
子「いやじゃないよ。来週からはときどき打たせてくれるみたいだし、
素振りも教えてくれるよ」
母「そう。じゃあもう少しがんばる?」
子「そうだね。柔道部のことは、また高校に入るときにでも考えるよ」
母「そうね。ガンバって」
(おかあさんの感想)
息子は、なんとなく心の中でモヤモヤした不満が、
話をすることによってすっきりしたという感じです。
話すことによって自分自身を納得させているような気がしました。
子どもの悩みの白いボールには、白いボールを返す。
この会話では、親の意見や、指示、提案はありません。
しかし子どもはちゃんと最後に解決策を見つけ出しています。
親と子の心のキャッチボールで、子ども自身の判断力、自律心が育ち、
親に対する気持ちがあたたかくかわってくるはずです。
子どもの悩みを聞くにも、いろいろな聞き方があります。
たとえば、
■子どもの言うことを黙って聞く。
■「そう」「へ~」「うんうん」「本当?」「ふーん」等のあいづちをうつ。
■「それでどうなったの?」「どう思ったの?」「それはどういうこと?」など
もっと話すようにうながす。
これらはたしかに、親の側が聞く姿勢になっているのですが、
子どもと気持ちを理解し合えるものではありません。
なぜなら子どもにとって、本当に親が自分のことを理解してくれているのか、
この聞き方では子どもにはよくわからないからです。
本当に親と子がしっかりと理解しあえるところまでいかない。
ということです。
白いボールがきたら、白いボールを返そう
そこで、以前にもご紹介しました「能動的な聞き方」を使って
もっと親子が理解しあえる方法をご紹介します。
これは、簡単に言うと
「子どもから白いボールが投げられたら、親も白いボールを返す」
ということです。
たとえば子どもが、
「ママー、お腹すいたよー」と言ったときに、
「うるさい子ね。おかあさん今支度してるでしょ。それより宿題はしたの?
ごはんのことばかり言わずに、少しは勉強でもしたら!」
と言ったとしたら、
これは、子どもの言ったことは受けとっていませんね。
おかあさんが言ったこと、
それは、子どもの白いボールの気持ちを、
おかあさんからの赤いボールをなげたことになります。
こんなとき、
「お腹が、すいたのね」と言ったら、
これは、子どもの投げた白いボールを返していることになります。
白いボールがきたら、白いボールを返す、というのは、
子どもと心のキャッチボールをするということです。
白いボールは子どもの心
しかし、子どもはお腹がすいたときに、
「お腹がすいた」とは必ずしも言いません。
たとえば、「晩ごはん、まだ?」と言ったりします。
その時に、先ほどのように、
「うるさい子ね。おかあさん今支度してるでしょ。・・・・・・」
と言ったのでは、子どもはそれ以上は話す気もおきないでしょうし、
むしろ自分の気持ちを理解してもらえないことに腹を立ててしまいます。
「晩ごはん、まだ?」と子どもが言ったとき、
「お腹がすいたのね」と、親から返事が返って初めて、
子どもは自分を理解されたと感じられます。
子「晩ごはん、まだ~?」
母「お腹がすいたのね」
子「うん、お腹すいた~。」
母「そっか、急いで支度するから、宿題しながら待ってて」
子「わかった。早くしてね」
母「OK!」
自分の心の中の気持ちを親の口から返してもらった子どもは、
自分の心をよく眺められるようになります。
そして、思考を先に発展させることができるようになるのです。
その結果、自分で悩みの解決へ一歩踏み出すことができ、
考える力を身につけるようになります。
子どもが悩んでいるとき、親のできる手助けは、
子どもの気持ちを聞くことです。
親は口を動かすのを止めて、耳に神経を集めましょう。
誰でも、悩みがあるときにほかの人に聞いてもらうと、
悩みが自分の口から出ることで客観的に眺められ、
よく見えるようになります。
子どもも同じです。
悩みを話せたら、解決への第一歩をふみだせます。
ですから、親が悩みを聞く場合も、
子どもの悩みを聞いたあとで、忠告を与えたり、
提案したりして悩みを親が解決してやるために聞くのではありません。
子どもが悩みを口から外に出して、
自分で眺められるようにするために聞くのです。
子どもを助けたい気持ちのあふれているのが親ですから、
子どもの悩みを聞くことで十分に助けてあげることが必ずできます。
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